2020年夏、九州で大変な大雨豪雨被害がありましたね。
ベタ基礎など床下がコンクリート仕上げの場合は、周囲の水が引けた後も、床下に水が溜っていまう場合があります。
床下に泥や水がたまったままだと、異臭やカビ発生して家の中にも影響を及ぼします。また、感染症なども引き起こすためできる限りきちんと処理をする必要があります。
業者に頼むと高いし、自分で処理する方法はないの?
私の実家が床下浸水に、遭った際に母と二人の女手のみで行った事後処理を、わかりやすく解説していきます。
床下浸水とは

床上浸水と床下浸水の違いって何?
まず消防庁のホームページを見ると、床下浸水は「床上浸水にならない程度に浸水したもの」と書いてあります。
床上浸水は「住家の床より上に浸水したもので、全壊・半壊ではないが、一時的に居住することができないもの」と書いてあります。
床上浸水:目に見えて床の上まで水や泥が入り込んでいる
床下浸水:家の中自体はいつも通りの生活ができる
床下浸水は何センチまで?
床上なのか床下なのか、すごく判断が微妙な場合、具体的に何センチまでが床下なの?と困ると思います。
国土交通省のホームページに、「浸水深さが50cm未満の場合は床下浸水、50cm以上になると床上浸水する恐れがある」と書いてあります。
どうやらこれは建築基準法で「床の高さは45㎝以上」と規定があるからなようなのですが、家によって床の高さも変わるのであくまでも一つの基準だと考えてください。
床下浸水:50㎝以上だと床上浸水になる場合がある
床下の確認方法
家の中に、床下に潜る場所(床下点検口)があるはずです。そこから下に潜って状況を確認してください。
※私の実家では、脱衣所にあるのでそこから潜りました
最近の家の土台はコンクリートでできています。
コンクリートの中に通常は配管などの鉄パイプのみが見える状態なのですが、水やヘドロがたまっていたら、それは床下浸水していることになります。
古い家だとコンクリートの土台ではない場合もあるようです。この記事で紹介する内容はコンクリートの床下の後片付け方法です。
床下浸水したらやること

保険や市のお金のサポートを確認
たとえば私の実家の地域では市のサポートはこのような内容でした。
- 床上浸水:給付金 約10万円
- 床下浸水:給付金 約1万円
保険については、我が家が入っている火災保険の中に含まれている保証は床上浸水のみに適用されるので床下だと対象外でした。
後処理のステップを確認
詳しくはこの後の章で解説しますが、大きく分けると4つのステップに分かれます。
全体の作業を把握しスケジュールを組みましょう。
私は下記スケジュールで行いました。
- 水を抜く(半日)
- ドロをかき出す(1日)
- 乾かす(2日)
- 消毒をする(1日)
業者に頼むと費用はいくら?
あくまでも我が家の場合ですが、近所の人に教えてもらった業者に問い合わせをしたところ30万円くらいの見積もりになりました。。。さすがにこれは高いので、道具を買って自分でやる事にしました。
自分で作業できるの?
床下は大人が入ることができるくらいの大きさはありますが、暗くて狭いので狭所恐怖症や暗所恐怖症の人は作業できないと思います。また、力仕事なので男性のほうが良いかとは思いますが、私は女性二人で5日間かけて作業しました。
床下浸水の片づけで使える作業服とグッズ

私が用意したものはこれです。服などは新しく買う必要はないので、このまま捨てても惜しくないものを使いましょう。ドロの中にはあらゆる細菌がいるので、肌が露出する恰好は避けます。
★:必須のもの
★なし:あると便利なもの
- 長袖、長ズボン★
- 軍手★
- マスク★
- スニーカーか長靴★
- 新聞紙 1週間分★
- 懐中電灯★
- 排水ポンプ 1つ★
- 高さのない台車
- ちりとり(ゴム付き)2つ★
- 介護用紙おむつ 1パック
- ペット用トイレシート 1パック
- ゴミ袋 20袋入り★
- バケツ3つ★
- 送風機3つ★
- ルック+お風呂の防カビ
- 消毒剤(我が家は石灰)★
- 延長コード1つ
- ビニールテープ1つ
それぞれのグッズの使い方は、次の章から詳しく説明していきます。
事前準備
床下環境には危険がいっぱいです。きちんと事前準備をしましょう。
服装を整える
大雨や台風で流された水には様々な細菌がいます。その水で汚れた水が通った床下はとんでもなく汚い上にムカデなどの昆虫がいる場合もあります。ほふく前進をする時に危険から身を守れる格好を意識しましょう。

- 長袖、長ズボン
- マスク
- スニーカー(長靴)
- 懐中電灯
長靴だと作業がしにくかったので捨てても良いスニーカーがおすすめです。
懐中電灯は両手があくので頭に付けるタイプがおすすめです。
新聞紙を床に敷く

- 新聞紙
このように、たくさんのヘドロが出ます。泥で家の中が汚れることも想定し、点検口と呼ばれる床下に潜る扉の周りには新聞紙を敷きましょう。作業が終わった際はこの新聞紙の上で服を脱ぎましょう。
水を抜く
では、懐中電灯をも持って床下に潜ります。
我が家はかなりドロと水が溜まっていたので排水ポンプを使って水を抜きました。
雑巾やちりとりで集められる量を超えるほどヘドロや水がある場合は排水ポンプが必要です。
排水ポンプの選び方

- 工事排水用(汚水で使用可)
- 低水位まで使用できる
一つ目に、排水ポンプには汚水対応のものと不対応のものがあり不対応のものを選ぶとすぐに壊れてしまう可能があります。泥や異物が入る可能性もあるので、工事用のものを購入しましょう。
二つ目に、低水位まで使用できるものを選びましょう。排水する際にできるだけポンプで水を掻き出してから手作業で取り切れなかった水や泥を取り除きます。どこまでポンプでくみ上げられるかによってこの後の手作業の大変さが大きく変わります。
1万円程度の排水ポンプ
少しでも早く楽に終わらせたい人には我が家でも使用したこのポンプがおすすめです。
排水できる量が多いので、より早く強力な排水ができます。
- ポンプに少しだけお金をかけられる人
- 少ない労力で排水作業を完了させたい人
- 今後も子供のプールや池の掃除などで使う機会があるひと
ポンプが買えない場合
どうしても自分で買うお金はないし、一緒に買うご近所さんもいない!という場合は市役所や近所の工務店などでレンタルサービスがないかを確認してみてください。
ドロの掃除方法
水がなくなったら、ヘドロをちりとりでかきだします。

ちりとりでヘドロをかきだす
重要なのが、ちりとりの選び方です。
- 先にゴムがついているのもの
- 手のひらサイズの小型のもの
よく、業者さんが窓を拭くときに使うワイパーってありますよね?あれのようにゴムを滑らせて泥を集めることですごくきれいに集められます。小さいもほうがしっかりと力が入ってかき集めやすいです。
何か所かに山を作ってかき集めたら、バケツに入れていきます。
ヘドロを運ぶ台車
これがあると、ヘドロがたまった思いバケツを一気に床下点検口まで転がして運ぶことができます。近くに売っていない場合はこのような商品がネットでも買えます。
乾燥のさせ方

紙おむつで水分を取る
介護用の紙おむつで、ポンプやちりとりでは取り切れなかった水分を取りましょう。
我が家は小さな子供がいるので子供用のおむつを使いましたが大人用の方が大量に吸収します。
ペット用トイレシートで仕上げ
だいたい取れたけどどなんか湿ってる気もする…という時は、ペット用トイレシートを敷いてみましょう。
おむつより水分の吸収は悪くても、あとちょっと水分取りたい…!というとき役立ちました。
サーキュレーター(送風機・扇風機)で乾燥させる

ある程度の水分が取れたら、あとはひたすら風を送って乾燥させます。
我が家はコンセントが届かなかったので延長コードを使い、更に水分がかかったときのためにビニールテープでコンセントをぐるぐる巻きにしました。
水しぶきに耐えられる延長コードが販売されているので、このような商品の購入がおすすめです。
我が家の場合、乾燥期間は丸2日です。サーキュレータの場所を少しずつ移動されながらまんべんなく乾燥させました。
消毒の方法
最後は消毒です。あとちょっと…!最後頑張りましょう!
カビ防止剤
まず最初にカビを防止するためにお風呂の防カビという商品を使い煙で除菌しました。
消毒の前に防カビ対策をしているとさらに安心できます。
消毒剤
次に、消毒剤をまきます。消石灰はあまり意味がないという意見もありますが大工さんの勧めで石灰を我が家は使用しました。写真のように一面が白くなります。

消毒では下記がおすすめだと大工さんから教えてもらいました。
- 消石灰
- クレゾール
- オスバン
- 塩化ベンザニウム
最後に
床下浸水は想像以上に処理が大変です。私は排水作業で半日、ヘドロの書き出しで1日、乾燥で2日、消毒で1日と計4.5日使いました。その後2年たちますが、変なにおいやカビは発生していません。
人手や十分な準備があればより早く終わらせることができます。
浸水被害に遭ったすべての方が、一日も早く元の生活に戻れるよう、経験者としてお祈りしております。
ー作業に必要な道具 再掲ー
★:必須のもの
★なし:あると便利なもの
- 長袖、長ズボン★
- 軍手★
- マスク★
- スニーカーか長靴★
- 新聞紙 1週間分★
- 懐中電灯★
- 排水ポンプ 1つ★
- ベニヤ板とキャスター(各100均)
- ちりとり(ゴム付き)2つ★
- 介護用紙おむつ 1パック
- ペット用トイレシート 1パック
- ゴミ袋 20袋入り★
- バケツ3つ★
- 送風機3つ★
- ルック+お風呂の防カビ
- 消毒剤(我が家は石灰)★
- 延長コード1つ
- ビニールテープ1つ